分散化というトレンド
様々な分野で「分散化」が進んでいるのでその背景について考えてみました。
「分散化」の傾向がみられる分野はエネルギー、金融機能、通貨、個人ID、コミュニティーなどがあると思っています。
エネルギーについては、1月に寒波が日本を襲った時にLNGの在庫量がニュースになりました。昨年夏以降、日本の電力会社も長期購入契約しているプラントなどでLNGの生産トラブルが続いていたことやパナマ運河の航路が渋滞していたことが理由でした。アンモニアや水素などの活用は環境面だけではなく、燃料の調達の分散化という意味もあると思われます。また、日本国内で再生可能エネルギーが増えると部分的にでも地域ごとに自給自足できることになるとも考えられる。
発電所については集中型の電源だと一昨年の北海道の様な大規模停電がおきるリスクが高い。カリフォルニアの様にルーフトップソーラーに対する補助1などで部分的であっても電源の分散化を図ることでリスク分散になり、また環境対策にもなります。新興国などではオフグリッドと呼ばれる送電網から独立した小型の分散型発電が利用されるようになってきていて、結果として災害には強い仕組みとなっているとも言える。
以前は銀行が独占していた金融の機能についても大手金融機関のシェアは大きいものの融資や決済の分野では世界の各地域でフィンテックの台頭が著しく、銀行を介さずに銀行口座を持たない・持てない人々も取り込んでいる。
通貨や個人IDの分野でも政府などによる中央集権的な管理から分散型台帳に基づいた仮想通貨や分散型IDなどが既に世の中に出回り使用され始めている。
コミュニティについても従来のSNS以外にもClubhouseやこのSubstackなど発信者の自由度が高まったツールが出てきている。リモートワークにより地方への移住などの「住」の分散化が進んでいる。本社を売却する企業も多い。
これは従来の様に国家権力だけに対する力ではなくGAFAMや大手金融機関などの巨大民間企業からの「独立」も意味する動きにもなっていると見て取れる。
この理由の一つは元々「分散」していることの方がリスクが低いというのが根底にあるにも関わらず、分散化する技術がなかっことやコストが高かったこと、またコロナが耐久性のある社会を求めるようになり、その延長線上で環境を含めたエネルギー政策や働き方を見直すきっかけになったことが大きいと感じています。
究極的にもっと根深いところでは、人間の本質が技術と共に炙り出されているのかもしれません。人間が本能的に意識する「個の安全保障」を考えてみると、自分のアイデンティティ(ID)の管理を特定の組織に委任したくないのが自然ですし、地産地消の方が(エネルギーであれ食料であれ)数100キロ先から運ばれてくるものよりもリスクを理解しやすく安全と感じるでしょう。「個」は独立を常に求めてきた歴史があり、「個」は自分で理解できて、相手の「顔」が見れて身近に感じるコトやモノを消費することで安心を感じるのではないでしょうか。
ただここの議論は所謂「小さい政府」の方が良い、という議論とはまた違う次元の話だと考えています(また別途書きます)
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カリフォルニア・ソーラー・イニシアチブ(CSI)と呼ばれる太陽光発電補助金プログラム